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第33回公開講演会講演要旨

1) 道徳哲学と経済学 —アダム・スミスを中心に—   水田 洋   

 アダム・スミス(1723-90)は、自由放任を主張した経済学者として知られているが、手ばなしの自由放任を説いたことはなく、職業は道徳哲学の教授であって、経済学は道徳哲学の講義のなかから発展したものであった。道徳ということばは、日本では伝統的に上から与えられる規範であり規律であるが、スミスたちのいうモラルは、人びとの社会生活のなかで便宜上自然に形成される、共存のためのとりきめであった。だからそれは当然、現実の経済活動をふくむことになる。
   スミスの自由放任論を示すものとして有名な「見えない手」は、彼の全著作のなかで二回使われているが、その最初の例は、見えない手のみちびきが土地の平等な分配と同じ効果を生むという文脈で使われている。スミスは自由をつねに平等と結びつけて主張した。だから「放任」ではないのである。
   参考文献 水田 洋 『アダム・スミス』講談社学術文庫、1997年

2) 21世紀の作物生産と環境保護   山田康之

 世界の人口が1999年60億人に達した。西暦元年頃の世界人口は3億人、それが20世紀初頭には15億になったが、人口が5倍に増加するまで1900年かかったことになる。農業技術の発達にはそれだけの時間が必要だったのである。ところが、20世紀に入ると医療など科学・技術の発達のおかげで100年たらずで、また5倍近く人口が増えた。そして逆に人口が食糧供給量を決めるようになった。科学・技術の発達は農業の近代化、集約的農業によって増加した人口を養えるだけの食糧増産を可能にしたからである。しかしそのために化石エネルギーを大量に消費する化学化農業は生産性を高めたが、農薬、肥料の大量使用による地球環境の破壊という現象を引き起こした。そこで21世紀はエネルギー低投入持続型農業を導入しなければならない。そのためには新しいバイオサイエンスの研究の重要さが考えられ、遺伝子組換え技術を前提とした新しい作物育種を行い、世界人口の増加に対応できる作物生産と地球環境保全の共生に関する研究が周到な思考の上に行われることが極めて重要であると考える。

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