日本学士院

物故会員個人情報

 

氏名

薗田坦 (そのだ たん)

 

所属部・分科

第1部第1分科

選定年月日

平成23年12月12日

退任年月日

平成28年4月22日

専攻学科目

西洋近世哲学史・宗教哲学

過去の要職

京都大学名誉教授
仁愛大学名誉教授

受賞等

〔国内〕

 

〔海外〕

 

主要な学術上の業績

薗田 坦氏は、M・エックハルトに代表されるヨーロッパ中世からの宗教哲学思想の精緻な研究ののち、近世における哲学知と科学知の並行的な、ないし連動的な展開の究明を課題としてきました。殊にニコラウス・クザーヌス(1401-1464)についての我が国最初の高度なモノグラフィーである『〈無限〉の思惟』(昭和62年)の刊行は、日本における哲学研究に画期的な寄与をなした業績として評価されています。
薗田氏は、クザーヌスの広大にして複雑な思想世界の源泉的原理が彼の「無限」観にあると見て、いわゆるキーワード的に流通している「無知の知」及び「対立の一致」を「無限」観の分節として綿密かつ独特に解明しています。
同氏は、更にクザーヌスが後続する近世哲学に対してもつ意義と影響に光をあてた第二の著作『クザーヌスと近世哲学』(平成15年)を著わし、近世哲学研究の領域に一つの金字塔を建てたと言うことができます。

 同氏の、平成27年に発表された「ヤーコプ・ベーメ研究」の書もまた重要であり、注目されます。

主要な著書・論文

著書:

  1. 「<無限>の思惟 —ニコラウス・クザーヌス研究—」昭和62年5月 創文社
  2. 「クザーヌスと近世哲学」 平成15年9月 創文社
  3. 「Shinrans Buddhismus der Fremdkraft」2014, Eko-Tempel, Düsseldorf
  4. 「無底と意志-形而上学 —ヤーコプ・ベーメ研究—」平成27年12月、創文社

訳書:

  1. K.ヤスパース「ニコラウス・クザーヌス」 (ヤスパース選集27)昭和45年8月 理想社
  2. E.カッシーラー「個と宇宙 —ルネサンス精神史」平成3年2月 名古屋大学出版会
  3. J.ベーメ「アウローラ —明け初める東天の紅—」 (ドイツ神秘主義叢書8) 平成12年2月 創文社
  4. F.W.J.シェリング「哲学と宗教」シェリング著作集 4a所収 平成23年4月、燈影社

論文:

  1. ブルーノの無限宇宙論Ⅰ 昭和59年12月 人文研究36巻  4分冊 pp.1-18
  2. ブルーノの無限宇宙論Ⅱ 昭和61年12月 人文研究38巻 12分冊 pp.49-68
  3. 近世初頭における自然哲学と自然科学 平成6年10月 哲学研究560号 pp.1-27

  4. 無底・意志・自然 ― J.ベーメの意志形而上学について―

    平成13年7月 龍谷大学論集 458号 pp.56-82
  5. J.ベーメにおける神と世界創造 ― 自然の「七つの性質」をめぐって 平成15年7月 竜谷大学論集 462号 pp.90-116
  6. J.べーメにおける創造と悪の起源  平成16年1月 龍谷哲学論集18号
  7. 「根源悪」について ―原罪と宿業― 平成18年12月 仁愛大学研究紀要 第5号 pp.1-10
  8. 仏教の世界観について 平成23年12月 仁愛大学研究紀要 第10号
  9. 人間とは 平成23年12月 人間学研究 第10号

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