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第43回公開講演会講演要旨

共通テーマ 昔の病気・今の病気

1) 伝世した病絵 —医学史上の一資料について—   武田恒夫      

 12世紀末に製作され、「病草紙」の名で知られる一群の病絵が、20図余り現存している。国宝や重要文化財に指定された作品もあるように、日本絵画史上、重要な価値を宿した諸画面である。当時、一連の地獄絵や餓鬼絵などと共に、極楽浄土とは対照的な六道輪廻の人道界を絵画化したものとされている。説話的な内容をあらわす点で、単なる世紀末的な風俗描写を目的とするものではなかった。
 現存する諸画面の中には、先天的障害と後天的症状が混在し、いずれも病絵として扱われているが、今回は、後者を中心に取り上げる。今日に通ずる症例が多いものの、詞書には意外な解釈もあり、中には荒唐無稽な治療法も見出される。病そのものは苦痛の対象であるが、画面では周囲にさまざまな笑いを入れることがある。悲痛な場面に、ユーモラスな気分をとり入れることは、機知的な着想という解釈も成り立っているが、病める当人にとっては、二重苦となるものであった。

2) アレルギー患者は何故増えたか?   石坂公成

 アレルギー性疾患は近年増加の一途を辿っている。日本では全人口の約20%が花粉症に悩んでおり、これにアトピー性皮膚炎や気管支喘息を加えると、全人口の30%近くがアレルギー性疾患を持つと言われている。特定の花粉を吸入する事で鼻炎を起こす人が居る事は、西欧では19世紀の中頃から分かっていたが、同じ花粉を吸入しても大多数の人は花粉症を発症しなかったので、この病気は特異体質によるものと考えられていた。しかし現在ではアレルギーが免疫学的疾患である事は論を待たない。本公開講座では先ず、アレルギーがアレルゲンに対するIgE抗体によって惹起される機序と、IgE抗体が作られるしくみについて解説する。アレルギー性疾患が急増した主な理由は、現在我々の置かれている免疫学的環境や社会環境が50年前のそれとは非常に違っており、その為にIgE抗体が作られやすくなったことと関係があると考えられるので、それを防ぐ手段についても考察を加えたい。

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