Skip navigation.

HOME > 事業 > 公開講演会 > 第46回公開講演会講演要旨

第46回公開講演会講演要旨

1) 中国江南農村の仮面劇 —追儺(おにやらい)と翁(おきな)を中心に—   田仲一成

 日本の神楽や能楽の仮面のルーツの一つとして、奈良・平安時代に中国や朝鮮から日本に伝わった「伎楽」や「雅楽」が考えられているが、中国大陸では、この100年の間、本土の研究者の関心が薄いこともあって、如何なる形の仮面劇の存在も報告されて来なかった。実は50年代にわずかながら鬼の仮面による原始的な仮面舞踏の事例が報告されていたのであるが、演劇研究者の間には何らの反響も起こらなかった。このため日本の研究者は、神楽や能楽の仮面のルーツを大陸に求めることをあきらめ、むしろ朝鮮半島に求めてきた。ところが1980年代になって、中国の揚子江中流域のいくつかの農村から、仮面舞踏や仮面劇の事例がまとまって報告されるに至った。その中には、日本の翁面にあたるものも出現している。今回、中国江南で出現した仮面の事例を紹介し、特に翁面や追儺の仮面を中心に、日本の仮面との関係の有無、或いはその文化史的な意味などを考えてみたい。

2) 最も小さい病原体;ウイロイドとウイロイド病   四方英四郎

 蛋白質をコードしない短いRNA(small RNA, non-coding RNA)がいま生物学、医学の中で注目されている。ウイロイド(1971, Diener)は、植物の病原として、"Sub-viral pathogen"の仲間であるが、その実体はウイルスとは全く異なる、自己複製する遺伝子単位である。また、mRNA活性の無い僅か350塩基ほどの、non-coding RNAでもある。ウイロイドは、細胞内の特定の小器官で複製し、細胞間通過、組織内移行をして増殖し、病原性を現す。これらの全てにかかわる情報が、この小さな分子構造の中に含まれていると考えられている。一方でウイロイドは、病原性の変異、宿主特異性、宿主適応などの生物的現象を示し、多くの作物、果樹などに甚大な被害を与え、防除が極めて難しい病原である。1892年の濾過性病毒(ウイルス)の発見から80年を経て、久々に現れたこの新しい病原体について、その発見から今日まで、約40年の研究を辿る。

↑ページの先頭へ